ページ

3/11/2013

木の屋石巻水産、復興への歩み。


どうも、近藤です。
雪国出身なので、春を待ちわびる気持ちが強いです。

宮城県石巻市へ。
TOKYO MX NEWS 報道特番 『あれから2年 被災地と東京』。
私は、老舗の水産加工会社「木の屋石巻水産」から、
生中継で被災地の今をお伝えしました。
絵本の活動でゆかりのある土地で、震災以降3度目の訪問。


大津波にのまれ、壊滅的な被害を受けた社屋や工場。
その爪痕は今も生々しく残り、
当時の皆さんの喪失感を思うと、本当に言葉を失いました。
「今日をどう生きるかで精一杯だった」
というほどの絶望的な現実を突きつけられながら、
何とか2年で再建にこぎつけ、先月新しい工場が完成したばかり。
国への補助金の申請が認められたこと、
全国から寄せられた義援金などが、大きな助けとなりました。
再び立ち上がり、懸命に復旧作業に当たるさなか、
「心は流されなかった」と語る社員の方もいたそうです。
きっと、心を失いそうになるほどの悲しみに暮れながら、
気持ちを奮い立たせ、気丈にその言葉を発したのではないでしょうか。。。
工場再建の原動力となったのは、
津波の泥にまみれた缶詰でした。
中身が無事だったら送ってほしいという声に応え、
瓦礫の中から、ボランティアの方々と一緒に拾い集めたそうです。
各地のイベントなどで紹介され、多くの義援金が集まりました。

木の屋石巻水産の「きぼうのかんづめ」物語は、
一冊の絵本にもまとめられました。
私の絵本リストにも加えたいと思います。
ちなみに、木の屋さんの“さばみそ煮”の缶詰は、
身はホロホロやわらかく、味がしっかり染みていて、
感動する美味しさでした!
お話を伺った松友倫人さん。
NEWSの中でお伝えしている『つながり通信』の中で、
一年間にわたって、現地の実情をリポートして下さっています。

「工場ができて、やっとスタート地点に立てた。
感謝の気持ちを忘れずに、
20年・30年先も美味しい缶詰を作り続けることが目標。
本当の復興への道のりはまだまだ遠く、闘いは続いていく。」
同年代の松友さんの力強い言葉、胸に刺さりました。

水産業が盛んだった石巻市。
補助金を受けられても、自己資金を用意できずに再建を断念したり、
事業が再開できても立ち行かなくなり、工場を閉鎖した会社も多いそう。

街づくりの計画は遅々として進まず、スピード感が求められています。
それでも希望を抱き、
一歩一歩前へと歩みを進めることが、どれほど困難なことか・・・。
口当たりの良い言葉では決してごまかせない過酷な現実と、
辛抱強く、向き合い続けている方々が沢山いらっしゃいます。

離れて暮らす私たち。
少しでも気持ちを分かち合い、
被災地との繋がりを模索し続けること。
復興のために何ができるのか、考え続けたいと思いました。
鎮魂の意を込めた無数のキャンドル。
帰り路、冷たい風が吹きすさぶ北上川沿いで灯されていたものです。
多くのひとが、優しいその灯火を、静かに見つめていました。

これまでの2年を振り返り、
これからの日々に祈りを捧げた、3月11日。

復興の春を信じて、
改めて、「忘れない」を心に刻んだ一日となりました。